現在の住まいをそのままエステサロンの店舗として活用できる自宅サロンは、開業費用を抑え、月々の家賃支払いを抑えられるメリットがあります。自宅サロンでは移動時間や通勤時間も不要なため、多くのサロンオーナー様から開業の相談をいただきますが、中にはどのような間取りでサロン部分を用意すればいいのか迷っているケースも多いです。
そこで本記事では、自宅サロンの間取り例や必要なスペースについてご紹介します。自宅サロンの開業に興味がある方や、自宅サロンのための間取り変更リフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
自宅サロンに必要な間取り
自宅サロンの間取りを考える上で欠かせないのが、必要なスペースと部屋を十分に確保しておくことです。多くの場合、自宅サロンでは生活スペースと店舗スペースを区別して営業することから、お客様用のお手洗いや駐車場なども別途確保しなければなりません。
ここでは自宅サロンに必要な間取り・スペースとして、下記の5つについてご紹介します。
- 施術室
- 待合室
- お手洗い
- 事務所・バックヤード
- 駐車場・駐輪場
それぞれ詳しく解説しましょう。
施術室
お客様に施術を提供する施術室は、脱衣が必要な痩身エステ・脱毛エステなどの場合は特に、プライベートが保たれる間取りを用意する必要があります。施術室の広さは少なくとも6畳以上が目安で、壁紙や照明なども工夫すると良いでしょう。
ただし保健所への届出が必要となるサロンの場合、間取りや設備について保健所の基準を守り、検査を受ける必要が出てきます。保健所が必要な自宅サロンの確認方法は、下記の記事でもご紹介しているので、一度目を通しておくことをおすすめします。
関連記事:エステサロン開業時に保健所への届け出は必要?手続きや申請方法を解説
待合室
完全予約制ではない自宅サロンを開業する場合や、お客様を待たせる可能性がある場合には、お客様用の待合スペースも間取りに含めると良いでしょう。使う頻度が少ない場合には、1部屋を丸ごと待合室として利用するのではなく、パーティションで区切って待合スペースを確保しても問題ありません。
待合室を設置しない場合には、お客様の次の予約までには十分な時間を空け、予約がブッキングしないよう工夫する必要があります。
お手洗い
自宅サロンでは家族が利用するお手洗いとは別に、お客様用のお手洗いを用意した間取りが理想です。施術室に隣接する場所にお手洗いを用意すると、お客様にとっても気兼ねなく利用できるでしょう。しかし家の設計段階からお手洗いを完備するのは難しいため、お手洗いに近い部屋を施術室として利用するのもおすすめです。
間取りの関係で家族と兼用のお手洗いを使う場合には、こまめな掃除を心がけ、営業時間中は家族にトイレの利用を控えてもらうようお願いしておきましょう。
事務所・バックヤード
事務所やバックヤード、準備室といったスペースは必須ではないですが、間取りに余裕がある場合には、別途確保しておくことをおすすめします。お客様のカウンセリングシートを保管したり、お客様の着替えの際に控えて待つための部屋があったりすると、自宅サロン経営に便利です。
駐車場・駐輪場
建物の間取り以外にも準備しておきたいスペースとして、お客様用の駐車場・駐輪場が挙げられます。特に駅やバス停から距離がある立地の場合、さまざまな交通手段での来店に備えておくと良いでしょう。家族用のスペースを使うことも可能ですが、近隣の駐車場を契約して確保する方法もあります。
自宅サロンで必要な広さ・スペースは何畳?
自宅サロンで最低限必要な間取り・スペースとしては、約6畳の施術室を確保できていれば十分です。待合室や事務所を用意する場合や、スタッフを雇って経営する場合には、さらに広い間取りが必要となります。しかしサロンオーナーが一人で施術を担当する場合には、6畳以上の広さを目安とすると良いでしょう。
自宅サロンの間取り例を紹介
次に、実際の間取り図をもとに自宅サロンの間取り例について解説していきましょう。ワンルーム・1Kの間取り、1LDKの間取り、戸建て住宅の間取りについてそれぞれご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ワンルーム・1Kの間取りの場合
上記のようなシンプル間取りのワンルームの場合、生活空間とサロン空間を区別するためには、少なくとも10畳以上の部屋があるマンションを選ぶ必要があります。できるだけキッチンや浴室などが分離された1Kの部屋を選ぶと、生活感が伝わりにくくなります。
場合によっては、同じマンションの別の部屋を店舗用として借り、同じ物件で自宅と店舗を用意しても良いでしょう。
1LDKの間取りの場合
こちらの間取り図にあるようなファミリー向けの1LDKの部屋の場合、パーティションなどで生活空間とサロン空間をしっかりと区別することで、お客様にとってリラックスできるサロンを作ることも可能です。
自宅兼店舗としてこれから物件を選ぶ場合には、玄関からすぐに入れる独立した部屋がある物件を検討してみると良いでしょう。お客様が利用する可能性があるお手洗いは、こまめに掃除を済ませておくことも忘れないようにしましょう。
戸建て住宅の間取りの場合
こちらの間取り図のような戸建て住宅で自宅サロンを開業する場合には、画像の北側半分を自宅サロンとして活用し、南側半分は家族の生活スペースとして使う方法が考えられます。十分な広さがある住宅であれば、2台分のベッドを設置したり、サロンオーナー用の事務スペースを確保したりすることも可能でしょう。
2階建ての住まいで自宅サロンを開業する場合には、1階をすべてサロン空間として使い、家族は2階で過ごすといった使い方も考えられます。
自宅サロンの間取りを考える際に注意したいポイント
次に、自宅サロンの間取りを考える際の注意点として、次の3つのポイントをご紹介します。
- 保健所への届出が必要な場合は事前に相談する
- 新築では住宅ローンに要注意
- 賃貸の場合は契約内容を要チェック
一つひとつ詳しくみていきましょう。
保健所への届出が必要な場合は事前に相談する
前述の通り、自宅サロンを開業する場合には、「美容所」として保健所の基準を満たし、立入検査を受ける必要が出てきます。保健所への届出が必要となるのは、美容師などの国家資格を使って施術を提供する場合、またはフェイシャルエステなどの首から上の施術を提供する場合です。
自宅サロンでまつ毛カット・まつ毛エクステやフェイシャルエステを提供する予定がある場合には、事前に保健所に相談して自宅の間取りが美容所の基準を満たせるかどうか確認しておくと良いでしょう。
関連記事:エステサロン開業時に保健所への届け出は必要?手続きや申請方法を解説
新築では住宅ローンに要注意
間取りを自由に選べる自宅兼店舗を新築する場合には、住宅ローンの扱いに注意が必要です。住宅ローンは、契約者の居住用に建てる家を対象に融資を受けられるローンであり、事業用の建物に利用することはできません。自宅兼店舗として利用するにも関わらず、全額を住宅ローンで契約して家を新築すると、金融機関からの一括返済を求められるリスクも発生します。
ただし自宅として利用する部分については住宅ローンの利用は可能なので、店舗用として使う部分は事業用ローンを利用するなど、別々のローンを組むことが大切です。
賃貸の場合は契約内容を要チェック
賃貸のアパートやマンションを自宅サロンとして利用したい場合には、間取りをチェックする前に、その物件が事務所利用・商用利用に対応しているかどうかを確認しておきましょう。分譲マンションの場合にも、管理規約で事務所利用が禁止されている場合には、自宅サロンの開業は難しくなります。
家主や管理組合に無断でエステサロンを開業すると、強制退去を求められるリスクがあるほか、消費税を脱税したと見なされるリスクや、建築基準法・消防法に違反する可能性も出てきます。こうした違法営業に当てはまらないよう、契約内容や管理規約を十分に確認してから開業準備を進めましょう。
自宅でエステサロンを開業するメリット
次に、自宅サロンを開業するメリットについて、次の3つのポイントをご紹介します。
- 物件探しの手間・費用を抑えられる
- 家賃が無料または低額
- 通勤時間が不要
それぞれ具体的に解説しましょう。
物件探しの手間・費用を抑えられる
テナントやマンションを借りてエステサロンを開業する場合と比較し、自宅サロンは物件探しの手間・費用を抑えられるメリットがあります。十分な広さの施術室を用意すれば、あとは開業届を提出して必要な備品を揃えれば、すぐにお客様を迎える準備が整います。
物件探しのために何軒もの建物を内見して回ったり、賃料の半年分の保証金を支払ったりする必要もなくなるため、開業資金に余裕がない方でも安心して開業できるのがメリットです。
家賃が無料または低額
住宅ローンの支払いを終えている住宅で自宅サロンを始める場合には、月々の家賃や賃料がゼロ円となります。光熱費や税金の支払いは必要となりますが、追加でまとまった維持費を支払う必要がないため、サロン経営の固定費を大幅にカットすることができます。
固定費が少なければ売上が少なくても黒字経営を目指しやすく、安定経営を実現しやすいメリットが得られます。
通勤時間が不要
自宅兼店舗で働ける自宅サロン開業では、職場への移動時間・通勤時間が発生しないため、時間に余裕が生まれる点もメリットです。浮いた時間を家族と過ごす時間に充てたり、資格取得のための勉強時間として使ったりすることも可能です。もちろん営業時間を延ばしてより多くのお客様を受け入れることもできるので、自由かつ柔軟に経営スタイルを決めることができます。
自宅でエステサロンを開業するデメリット
自宅サロンの開業では、メリットだけではなくデメリットも押さえておく必要があります。自宅サロンの主なデメリットには、次の3つが挙げられます。
- 間取り次第では生活感が出てしまいやすい
- オン・オフの区別がつきにくい
- 立地を自由に選べない
一つひとつ詳しくご紹介しましょう。
間取り次第では生活感が出てしまいやすい
自宅サロンの間取り次第では、お客様に生活感が伝わってしまいやすく、顧客満足度を低下させる原因になることがあります。他人の家の生活感が伝わってくる空間では、お客様もリラックスして施術を受けにくいでしょう。
そのためスペースに余裕がない住宅では、改装・リフォームも視野に入れながら、最適な間取りを検討する必要があります。
オン・オフの区別がつきにくい
こちらも自宅サロンの間取り次第ではありますが、仕事とプライベートのオン・オフを区別しにくくなるデメリットがあります。特にワンルームや1LDKなど、生活空間とサロン空間を明確に区別しにくい住宅の場合、常に心が休まらずブラック企業で働いているかのような状態になることもあります。
たとえば営業時間が終わったら店舗用の部屋や間取りには立ち入らないなど、自主的にオン・オフを切り替える工夫を施すことが大切です。
立地を自由に選べない
自宅サロンはすでに間取りや立地が決まっている自宅を使ってエステサロンを開業するため、開業地を自由に選べず、集客面で不利になる可能性があります。駅やバス停から距離があり、アクセスが悪いエリアの場合、新規集客に苦労することも多くなるでしょう。
SNSやWebを使った集客に力を入れることで、集客についての課題を解消することも可能ですが、どうしても難しい場合にはテナント・マンションを借りることも検討してみると良いでしょう。
工事なしで自宅サロンをおしゃれにするコツ
最後に、間取り変更リフォームなどの工事なしで自宅サロンをおしゃれに作り替えるコツをご紹介しましょう。開業資金に余裕がなく内装工事は難しいが、おしゃれな施術スペースを用意したい場合に参考にしてみてください。
鏡を設置する
間取りに余裕がない自宅サロンでも部屋を広く見せるためには、大きめの鏡を設置するのがおすすめです。鏡の効果によって視覚的に床や壁の面積が増え、実際よりも広い空間に感じてもらいやすくなります。痩身エステや脱毛エステなどのメニューを提供する場合には、身体の変化を実感してもらえるため一石二鳥です。
家具のテイストや高さを統一する
自宅サロンの施術スペースに新たな家具を設置する場合には、家具のテイストやブランド、高さなどはできるだけ統一するのがおすすめです。特に家具の高さは、やや低めを意識して統一すると、天井が高く感じられて広いスペースがあるように錯覚しやすいです。天井の高さを変えるリフォームは、非常に大掛かりな工事となることも多いため、こうした工夫を取り入れてみましょう。
間接照明を活用する
施術スペースでは間接照明を取り入れることも、広さを感じてもらう工夫として効果的です。間接照明によって実際よりも奥行きが感じられるため、実際の間取りよりも広々とした部屋で施術を受けているような印象を与えることができます。間接照明には柔らかい雰囲気の製品も多く、お客様がリラックスしやすくなる効果も期待できるでしょう。
まとめ
自宅サロンの間取りには、施術室だけではなく待合室・お手洗い・事務所スペースなども確保しておくと安心です。自宅サロンの開業に最低限必要なのは、6畳以上の施術室のみですが、必要に応じて広いスペースを確保しておくと、サロン経営でも有利に働きます。
ただし開業するエステサロンの種類によっては、保健所への届出が必要となるためご注意ください。住宅ローンの扱いや、賃貸マンションでの契約内容にも注意が必要なので、事前に十分確認しておきましょう。今回ご紹介してきた間取り例や注意点を踏まえ、失敗しない自宅サロン開業にトライしましょう。
なお、自宅サロンを含めたエステサロンの開業・経営について相談したいオーナー様は、私たち株式会社b-modelsにご相談ください。b-modelsでは、業務用エステ機器の販売をはじめ、資金調達・販売メニューの構築から集客媒体の代行まで、ワンストップで経営・開業サポートを提供しています。興味がある方は、ぜひ下記のページからお気軽にお問い合わせください。