人件費などの固定費が少なく利益が残りやすいセルフエステは、開業に資格・免許も必要ないことから、セルフエステの開業を考えるサロンオーナー様は少なくありません。また、スタッフやエステティシャンの人材不足や、ライバル店との価格競争を避けるために、セルフエステのオープンを検討している方も多いです。
しかしセルフエステを開業するにあたっては、十分な資金や業務用エステ機器の導入、資格の取得など準備しておくべきことが多くあります。そこで本記事では、セルフエステの開業について、必要な資格や開業資金、成功のコツについてご紹介していきます。
セルフエステの需要とは?
これまでエステサロンといえば、専門の技術を持ったエステティシャンがオールハンドまたはマシンによってお客様に施術を提供する形が一般的でした。しかしコロナ禍でエステサロンへの客足が減少し、より手軽かつ手頃な価格でエステを受けたいというニーズに合わせ、近年ではセルフエステの需要が急上昇しています。
中には月額制のサブスクモデルでセルフエステを提供している店舗も出てくるなど、エステ業界の新たな事業形態の一つとしてセルフエステが注目されつつあります。家庭用エステ機器よりも出力の高い業務用エステ機器を格安料金で利用できることから、お客様にとってもメリットが大きいのが特徴です。今後のエステ業界を牽引する存在として、セルフエステが急速に普及する可能性も考えられます。
セルフエステの開業費用の目安
セルフエステの開業費用は、トータルで500万円〜1,000万円が目安となります。
セルフエステの開業では、サロンオーナー様やエステティシャンが施術を提供する従来のサロンと比較し、人材採用のコストや研修にかかるコストを抑えられる傾向にあります。一方で、物件の賃料や内装工事費、消耗品費などは変わらず発生する点に注意が必要です。
セルフエステで必要な開業費用の内訳として、以下の5項目について解説していきましょう。
- 物件の初期費用・家賃
- 内装工事費
- 設備・備品の購入費
- 集客・広告宣伝費
- 運転資金
それぞれ詳しくご紹介します。
物件の初期費用・家賃
セルフエステの開業費用の中でも大きな割合を占めるのが、物件の取得費用です。テナントを借りてセルフエステを開業する場合には、一般的な20坪の広さの店舗で賃料は約20万円が目安になります。テナントを借りる際には、保証金として賃料の約半年分を支払う必要があるため、物件の取得費用で100万円以上かかる可能性も少なくありません。
物件の取得費用を抑えるために、自宅サロンや賃貸マンションを使ったサロンを開業するという選択肢もあります。しかしセルフエステに通うお客様は、誰かに見られることなく、落ち着いた環境で施術することを求めています。そのため個室を用意するための仕切りや内装のリフォームなど、後述する内装工事費が膨らみやすい点に注意が必要です。
内装工事費
セルフエステの開業費用として、内装工事費が多めに発生する点を押さえておきましょう。というのも、従来のサロンと比較して仕切りや通路などのレイアウトに工夫が必要であり、店舗の床面積に合わせて個室スペースが最大となるように設計する必要も出てくるからです。内装工事費の目安は、約100万円〜300万円ほどです。
セルフエステの開業では、お客様一人ひとりが落ち着いてエステ機器を利用できるよう、個室スペースを豊富に用意するのがポイントです。個室スペースはコンパクトにするほど店舗の回転率は向上しますが、エステティシャンによる施術の提供も視野に入れている場合には、ベッドが設置できる広さの個室の方が望ましいでしょう。
設備・備品の購入費
セルフエステの最大の付加価値となるエステ機器は、本体価格が1台100万円〜300万円ほどと高額であることに加え、それぞれの個室スペースに設置する必要があるため、導入費用が高額になりやすい点に注意が必要です。豊富な機能を備えた複合機であれば他店との差別化ポイントにもなりますが、その分だけ初期コストも高額になります。
中古品のエステ機器を購入するという選択肢もありますが、製品保証が切れていたりメーカーのサポートが受けられなかったりするリスクもあるため、避けた方が良いでしょう。エステ機器のメーカーには、レンタルプランや分割払いに対応しているところもあるので、支払い方法が豊富なマシンを優先的に検討してみましょう。
集客・広告宣伝費
セルフエステを開業し、長期的に安定経営を目指したい場合には、集客に力を入れることが大切です。セルフエステは参入障壁が低く、差別化が難しい経営スタイルでもあるため、周辺にライバル店ができると一気にお客様を奪われてしまう可能性もあります。
個人サロンでは、SNSやYouTubeなどの無料で利用できる集客媒体がおすすめですが、人件費を広告宣伝費に回せるセルフエステでは、広告代理店に依頼してWeb広告を出稿するのも一つの選択肢です。公式HPの制作もWeb制作会社に依頼し、お客様が利用しやすくおしゃれなページを用意するのもおすすめです。
上記のような施策に取り組む場合、開業にかかる初期費用として約50万円の広告宣伝費を見積もっておくと良いでしょう。
運転資金
セルフエステを開業する際には、少なくとも半年分〜1年分のランニングコストを、運転資金として準備しておくと安心です。セルフエステの開業から黒字化までは、少なくとも3ヵ月〜半年以上の期間が必要とされています。その間もエステ機器の維持費や消耗品費は発生するため、売上が立たなくても経営を続けられるだけの資金を確保しておきましょう。
運転資金の目安は、テナントの賃料や利用する集客媒体によっても変動しますが、人件費を除いて約20万円〜30万円ほどを見積もっておくと良いでしょう。
セルフエステの開業費用・ランニングコストを抑えるコツ
セルフエステの経営では、人件費を抑えられるため毎月の固定費を削減できるメリットがありますが、一方で個室スペースを完備した店舗や、エステ機器の導入のために開業費用が膨らみやすくなる傾向があります。
ここでは開業資金に余裕がない場合や予算が不足する場合に、開業費用・ランニングコストを抑えるコツについて解説します。
自宅サロンやマンションサロンを検討する
テナントサロンでの開業と比較すると、自宅や賃貸マンションを使ったセルフエステ開業の方が、家賃や賃料を抑えられるメリットがあります。戸建て住宅でローンを払い終えている物件であれば家賃はゼロ円、購入したばかりの築浅の住まいであれば、内装工事を必要とせずに開業できる可能性もあります。
賃貸マンションの場合は、事務所利用や商用利用が可能な物件を選ぶ必要がありますが、テナントを借りる場合と比べて家賃相場は大幅に安くなっています。
ただしいずれの場合にも、セルフエステに通いたいとお客様が魅力を感じるだけのコンセプトやエステ機器を用意する必要があります。繁華街に建つ商業ビルなどと比較し、立地条件が縛られるため集客面でも不利になりやすい点にご注意ください。
備品・消耗品を安価に購入する
セルフエステの開業資金やランニングコストを抑えるには、備品や消耗品のコストカットを検討するのも大切です。エステ機器などの備品は、初期コストを節約できるレンタルプランなどを検討し、開業資金に余裕を持たせるのがおすすめです。規模の大きなエステサロンであれば、卸業者から大量購入する際に割引を受けられる可能性もあるため、見積もりの際に相談してみると良いでしょう。
助成金・補助金を活用する
セルフエステの開業では、国や自治体の助成金・補助金を利用できることがあります。助成金・補助金は、金融機関からの融資とは異なり、原則として返済する必要がありません。そのため月々の返済負担なく開業資金を調達することができます。
セルフエステの開業で受けられる助成金・補助金には、主に下記の種類があります。
・小規模事業者持続化補助金
・IT導入補助金
・ものづくり補助金
・地域雇用開発助成金
・人材開発支援助成金
・キャリアアップ助成金
それぞれの補助金・助成金の応募要項や必要書類については、以下の記事でも詳しくご紹介しているので併せてご覧ください。
関連記事:エステサロン開業で使える助成金と補助金!申請方法も紹介
セルフエステ開業では資格は不要!有利になる資格は?
セルフエステの開業では、原則として資格や免許は必要なく、設備を用意すれば誰でもサロンオーナーになることができます。しかしエステティシャン関連の資格があると、集客効果や接客の質を高めることにも繋がります。そのため開業まで時間的に余裕がある方や、資格取得に興味がある方は、資格取得の勉強に取り組んでみるのもおすすめです。
セルフエステ開業で役立つ資格としては、以下のような種類が挙げられます。
- AJESTHE認定エステティシャン
- CIDESCO国際ライセンス
- AEA認定エステティシャン
それぞれ詳しくご紹介しましょう。
AJESTHE認定エステティシャン
「AJESTHE認定エステティシャン」は、日本エステティック協会が認定している資格で、エステティシャンとしての基本的な知識・技術を持つことを証明するものです。資格取得には、エステティシャンセンター試験に合格し、協会認定校で3000時間以上または1,000時間以上のコースを修了するか実務経験を1年以上積むことが求められます。
上位資格には「AJESTHE認定上級エステティシャン」「AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー」なども存在するため、ステップアップを目指したい方にもおすすめです。
CIDESCO国際ライセンス
「CIDESCO国際ライセンス」は、スイスに本部を置くエステ業界における国際組織「CIDESCO(シデスコ)」が発行している資格です。資格取得には、国際認定校において1,200時間以上のコースを修了して試験に合格する、またはエステティシャンとして3年以上の実務経験を積んで試験に合格するなどの方法があります。
取得することにより国際的に通用するエステティシャンであることを証明できるため、他店との差別化にもつながりやすいでしょう。
参照:CIDESCO-NIPPON「CIDESCOディプロマとは」
AEA認定エステティシャン
「AEA認定エステティシャン」は、日本エステティック業協会が認定する資格です。AEA認定校での300時間以上のコースを修了した方が資格取得の対象で、筆記試験・実技試験を経て合格した方だけが認定を受けられます。5年ごとの更新を必要とする資格なので、常に最新の知識・技術を身につけていることを証明する資格です。
上位資格である「AEA上級認定エステティシャン」「AEA認定インターナショナルエステティシャン」などの取得を目指してみるのも良いでしょう。
失敗しないセルフエステ開業の秘訣
最後に、セルフエステ開業で成功を収める秘訣について、次の3つのポイントをご紹介しましょう。
- SNS・Web集客に注力する
- 高性能なエステ機器を選ぶ
- 開業支援サービスを利用する
一つひとつ順番に解説していきます。
SNS・Web集客に注力する
セルフエステ開業では、より多くのお客様を迎え入れて黒字経営を目指すためにも、集客方法に力を入れる必要があります。中でもSNSやWebを使った集客では、初期費用・運営コストを抑えながらお客様の来店を促すことができるため、個人サロンの最初の集客媒体としてもおすすめです。
SNSやWebを使った集客ノウハウが不足する場合には、サロン経営コンサルティングを提供している会社や、広告代理店などに依頼してみるのも良いでしょう。セルフエステにより浮いた人件費を広告宣伝費に回すことで、安定した黒字経営を実現できるでしょう。
高性能なエステ機器を選ぶ
セルフエステ開業を成功へと導くには、お客様が使用するエステ機器選びも重要です。セルフエステではスタッフによる施術を実施しないため、他店と差別化ができるのは価格設定やエステ機器の性能などに限られます。
中でも高性能なエステ機器は、お客様が効果を実感しやすく、顧客満足度アップにつながる可能性が高いです。SNSやWeb上でのポジティブな口コミ・評価にもつながり、集客面でも高い効果を発揮します。そのため導入するエステ機器を選ぶ際には、価格や使いやすさはもちろん、出力・機能性なども重視して選ぶと良いでしょう。
開業支援サービスを利用する
初めてのセルフエステ開業では、サロン経営ノウハウが豊富な専門家による開業支援サービスを活用するのもおすすめです。プロの視点から開業に関するアドバイスを受けることで、集客に失敗し売上が伸び悩むなどのリスクを抑えて安定経営を目指せます。
私たち株式会社b-modelsでも、店舗の立地選びから内装・設備、集客・販売メニューの構築といった開業支援サービスが受けられる業務用エステ機器を販売しています。エステサロン開業に最適なマシンをご提案させていただきますので、下記のページからお気軽にお問い合わせください。
まとめ
資格・免許が不要で人件費も抑えられることから、セルフエステの開業に興味を持つ方は増えています。しかし他店のセルフエステとの差別化のためには、内装へのこだわりや高性能な業務用エステ機器の導入など、多くの開業資金を必要とします。そのためレンタルプランに対応した業務用エステ機器を検討し、国からの助成金・補助金で資金調達することをおすすめします。
なお、業務用エステ機器選びからエステサロンの開業・経営について相談したいオーナー様は、私たち株式会社b-modelsにお任せください。b-modelsでは、業務用エステ機器の販売をはじめ、資金調達・販売メニューの構築から集客媒体の代行まで、ワンストップで経営・開業サポートを提供しています。興味がある方は、ぜひ下記のページからお気軽にお問い合わせください。