
「エステサロンの開業資金を、補助金や助成金で少しでもまかないたい」
「自分のサロンでも使える制度があるのか、どれから調べればよいのか分からない」
開業や機器導入、スタッフ採用を考えているサロンオーナー様の中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、エステサロンが使える公的支援は、設備投資や販路開拓に使う「補助金」と、雇用や人材育成に使う「助成金」の2系統に分かれます。
個人事業主の小規模サロンであれば、まず小規模事業者持続化補助金と、開業地の自治体が実施する創業支援補助金を確認するのが近道です。
スタッフを雇用する予定があれば、キャリアアップ助成金や業務改善助成金などの雇用系の助成金も選択肢に入ります。
ただし、補助金も助成金も原則として後払いで、交付決定前に契約・購入した経費は対象外になるのが一般的です。
制度選びと同じくらい、申請のタイミングと資金繰りの計画が重要になります。
本記事では、2026年10月時点の情報をもとに、エステサロンの開業・経営に使える補助金6つと助成金7つ、申請時の注意点、補助金以外の資金調達方法までを解説します。
補助金と助成金の違いとは?

エステサロンが受けられる公的支援には「補助金」と「助成金」の2つがあり、目的・審査の有無・管轄がそれぞれ異なります。
はじめに、両者の違いを4つのポイントで整理します。
- 補助金:おもに経済産業省・中小企業庁や自治体が実施。設備投資や販路開拓など「もの」への投資が対象。公募期間内に申請し、審査で採択された事業者だけが受給できる
- 助成金:おもに厚生労働省が実施。雇用・人材育成・職場環境の改善など「ひと」への取り組みが対象。要件を満たせば原則として受給できる
- 共通点:どちらも返済は不要。ただし、どちらも原則として取り組みを実施した後に支払われる後払い
受給できるかどうかの決まり方
補助金と助成金のいちばん大きな違いは、審査の有無です。
補助金は予算と採択件数に上限があり、事業計画書の内容を審査したうえで採択・不採択が決まります。
制度や公募回によっては採択率が半分を下回ることもあるため、申請すれば必ず受け取れるものではありません。
一方で助成金は、定められた要件を満たして正しく申請すれば、原則として受給できます。
ただし、雇用保険の適用事業所であることが前提になる制度が多く、スタッフを雇わない1人サロンでは対象外になる点に注意が必要です。
支援の内容
補助金の対象は、事業の成長や競争力の強化に必要な投資が中心です。
エステサロンでは、美容機器や施術ベッドなどの設備購入、販促のための内装改装、ホームページ制作やチラシ作成などの広告宣伝費、予約・顧客管理システムの導入費などが対象になりえます。
助成金の対象は、スタッフの採用・正社員化・研修・賃上げ・育児や介護との両立支援など、人に関わる取り組みです。
支給の方法とタイミング
補助金は、採択後に交付決定を受けてから事業を実施し、実績報告と確定検査を経て支払われます。
つまり、機器の購入費や工事費はいったん自己資金や融資で立て替える必要があり、入金は事業完了の数か月後になるのが一般的です。
申請から入金までを通して見ると、半年から1年以上かかるケースも珍しくありません。
助成金も同様に、正社員化や研修などの取り組みを実施した後に支給申請をおこなう後払いの仕組みです。
支給申請から入金までにも数か月かかるため、開業直後の運転資金として当てにしすぎない資金計画が大切です。
返還が求められるケース
補助金・助成金ともに返済の必要はありませんが、要件を満たしていなかった場合や、目的外の使用・虚偽の申請が発覚した場合は返還を求められます。
補助金で購入した機器を、一定期間内に無断で売却・処分した場合も返還の対象になることがあります。
申請時に提示された条件と、受給後の報告義務は必ず守るようにしましょう。
エステサロンの開業・経営に使える補助金6選

ここからは、エステサロンの開業や経営に利用できる補助金を6つ紹介します。
金額や要件は2026年10月時点の情報です。公募回ごとに内容が変わるため、申請前には必ず最新の公募要領を確認してください。
①小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画にもとづいておこなう販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する制度です。
エステサロンでは、新メニュー導入のための美容機器の購入、集客のためのホームページ制作やチラシ作成、店舗の外観・内装の改装などに活用できます。
個人事業主も申請でき、エステサロンを含むサービス業では常時使用する従業員が5人以下であることが要件です。
2026年度は、すでに事業をおこなっている事業者向けの「一般型(通常枠)」と、開業間もない事業者向けの「創業型」が設けられています。
- 一般型(通常枠):補助上限50万円、補助率2/3。インボイス特例で最大100万円、賃金引上げ特例で最大200万円、両方の特例で最大250万円
- 創業型:補助上限200万円、補助率2/3。インボイス特例で最大250万円
創業型を利用するには、市区町村の「特定創業支援等事業」による支援を受けていることなどの要件があります。
また、申請には地域の商工会・商工会議所が発行する書類が必要になるため、締切直前ではなく早めに相談しておきましょう。
なお、家賃や、パソコンのように事業以外にも使える汎用品は対象外とされるのが一般的です。
②新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、2026年に「ものづくり補助金」と「中小企業新事業進出補助金」が統合されてできた制度です。
新しいサービスの開発や新分野への進出にともなう、比較的規模の大きい設備投資を支援します。
エステサロンでは、他業種からエステ事業に参入する場合や、既存サロンが新しい施術サービスを立ち上げるための設備投資などが想定されます。
おもな申請枠と補助上限は以下のとおりです。
- 革新的新製品・サービス枠:従業員数に応じて補助上限750万円〜2,500万円(賃上げ特例で上乗せあり)。補助率は中小企業1/2、小規模事業者2/3
- 新事業進出枠:既存事業とは異なる新市場への進出が対象。従業員20人以下で補助上限2,500万円(賃上げ特例で3,000万円)
- グローバル枠:海外事業に関わる取り組みが対象
補助額が大きい分、事業計画の革新性や実現可能性、賃上げ計画などが厳しく審査されます。
美容機器を1台入れ替えるだけといった投資では要件を満たしにくいため、小規模な投資であれば①の持続化補助金のほうが現実的です。
なお、従来よく紹介されていた「事業再構築補助金」は、2025年の第13回公募をもって新規の受付を終了しています。
業態転換や新分野展開を考えている場合は、本補助金の新事業進出枠が後継の選択肢になります。
③デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する費用を補助する制度です。
2026年度から「IT導入補助金」の名称が変更され、AIを活用したツールも含めて支援する形になりました。
エステサロンでは、予約管理システム、顧客管理システム、会計ソフト、キャッシュレス決済の導入などが対象として考えられます。
通常枠の補助上限は450万円で、ほかにインボイス枠やセキュリティ対策推進枠などが設けられています。
対象になるのは、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が提供する登録済みのITツールに限られます。
導入したいツールが対象かどうかは、公式サイトのツール検索で事前に確認しましょう。
④自治体の創業支援補助金
都道府県や市区町村の多くは、地域で新たに事業を始める人を対象に、独自の創業支援補助金を用意しています。
国の補助金と比べて、開業時の初期費用(店舗の改装費・設備費・広告宣伝費など)を幅広く対象にしている制度が多いのが特徴です。
たとえば東京都の「創業助成事業」は、都内で創業する人や創業から5年未満の中小企業者などを対象に、助成率2/3、助成限度額400万円で経費の一部を支援しています。
名称に「助成」とついていますが、審査を経て採択される補助金型の制度です。
支給額や対象経費、募集時期は自治体によって大きく異なるため、開業予定地の自治体の公式サイトや創業支援窓口で確認しましょう。
⑤自治体・商店街の空き店舗活用補助金
商店街の空き店舗への出店を支援するため、自治体や商店街が家賃や改装費の一部を補助する制度もあります。
テナントでエステサロンを開業する予定で、出店エリアにこだわりがない場合は、候補地に空き店舗の補助制度がないか確認してみるとよいでしょう。
家賃補助は一定期間に限られることが多く、営業日数や地域活動への参加などの条件がつく場合もあります。
なお、国の「地域商業機能複合化推進事業」は、現在は被災地の商店街の復旧・にぎわい創出などを対象としており、商店街組織などが実施主体となるため、個人のサロン開業で直接使える制度ではありません。
空き店舗活用の補助は、出店予定地の市区町村の商工担当窓口に問い合わせるのが確実です。
⑥中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が、業務を省力化する設備やシステムを導入する費用を補助する制度です。
事務局のカタログに登録された製品から選んで導入する「カタログ注文型」と、事業者ごとにオーダーメイドの設備やシステムを導入する「一般型」の2種類があります。
カタログ注文型は補助率1/2で、従業員数に応じた補助上限のもと、随時申請を受け付けています。
エステサロンでは、自動精算機の導入などで受付・会計の手間を減らしたい場合に検討の余地があります。
対象はカタログに登録された製品に限られるため、導入したい設備が登録されているかを公式サイトで確認しておきましょう。
美容機器の導入に絞って補助金を探している方は、業務用美容機器に使える補助金・助成金制度の解説記事もあわせてご覧ください。
エステサロンの開業・経営に使える助成金7選

ここからは、スタッフを雇用するエステサロンが活用できる助成金を7つ紹介します。
いずれも雇用保険の適用事業所であることなどが前提となるため、1人で運営するサロンでは対象外になる点にご注意ください。
①キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、パート・アルバイトや契約社員など、非正規雇用で働くスタッフの処遇改善に取り組む事業主を支援する制度です。
エステサロンでは、パートで採用したセラピストを正社員に登用する際に活用できます。
もっとも利用されている正社員化コースでは、中小企業が有期雇用のスタッフを正社員に転換した場合、1人あたり40万円(重点支援対象者は80万円)が支給されます。
おもな受給要件は以下のとおりです。
- 正社員化の前に「キャリアアップ計画」を作成し、管轄の労働局に提出している
- 就業規則などに、正社員へ転換する制度を定めている
- 転換後の賃金を、転換前より3%以上引き上げている
- 正社員に転換した後、6か月以上継続して雇用している
このほかにも、賃金規定等改定コースなど複数のコースがあります。詳細は厚生労働省のサイトで確認できます。
②人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、スタッフに職務に関連した知識や技能を身につけさせるための訓練をおこなう事業主を支援する制度です。
エステサロンでは、施術技術を習得するための外部講習や、接客・カウンセリングの研修などへの活用が考えられます。
人材育成支援コースの場合、中小企業が業務を離れておこなう研修(OFF-JT)を実施すると、経費の45%(有期雇用のスタッフなどは70%)と、訓練時間1時間あたり800円の賃金助成が受けられます。
訓練を始める日の1か月前までに訓練計画を提出する必要があり、計画提出前に実施した研修は対象になりません。
③人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
人材確保等支援助成金は、スタッフの確保や職場への定着を目的とした取り組みを支援する制度で、複数のコースが設けられています。
エステサロンで活用しやすいのは、外国人スタッフが働きやすい環境を整備する事業主を対象とした、外国人労働者就労環境整備助成コースです。
就業規則やマニュアルの多言語化、相談体制の整備などの措置を実施した場合に助成され、厚生労働省のサイトでは、支給額は20万円(一時帰国のための休暇制度の整備などの上乗せ措置を実施した場合は25万円)と案内されています。
外国人のお客様への対応を強化するために、外国人スタッフの採用を考えているサロンにとって検討しやすい制度です。
>>厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」
④トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、職業経験の不足などから安定した仕事に就くことが難しい求職者を、試行的に雇用する事業主を支援する制度です。
原則3か月のトライアル雇用で適性を見極めたうえで、継続雇用につなげることを目的としています。
エステ業界が未経験の人材を採用する場合に活用しやすく、対象者1人あたり月額最大4万円(ひとり親の場合は月額最大5万円)を最長3か月間受給できます。
ハローワークなどに「トライアル雇用求人」を出し、その紹介によって雇い入れることが条件です。
⑤地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
地域雇用開発助成金は、雇用機会が特に不足している地域で、事業所の設置・整備とあわせて地域の求職者を雇い入れる事業主を支援する制度です。
対象地域でエステサロンを開業する場合や、店舗を増やしてスタッフを増員する場合に活用できます。
支給額は設置・整備にかかった費用と、増加した従業員数によって決まり、1年ごとに最大3回支給されます。
1回あたりの上限は800万円で、中小企業や創業の場合は上乗せがあります。
事業所の設置・整備の前に計画書を労働局に提出する必要があるため、開業を決めた段階で対象地域かどうかを確認しておきましょう。
⑥両立支援等助成金
両立支援等助成金は、スタッフが仕事と育児・介護などを両立できる職場環境づくりに取り組む事業主を支援する制度です。
出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育休中等業務代替支援コースなど複数のコースがあり、女性スタッフの多いエステサロンでは活用の機会が多い制度だといえます。
たとえば育休中等業務代替支援コースでは、育児休業を取ったスタッフの業務を代わりに担うスタッフへの手当支給や、代替要員の新規雇用に対して助成されます。
代替要員を新規雇用した場合は、代替した期間に応じて最大81万円(プラチナくるみん認定事業主は最大99万円)が支給されます。
エステサロンでは、スタッフの技術や経験がそのままサロンの強みになります。
出産・育児・介護による離職を防ぎ、経験を積んだスタッフに長く働いてもらうためにも検討したい制度です。
⑦業務改善助成金
業務改善助成金は、事業場内でもっとも低い賃金を引き上げ、あわせて生産性向上のための設備投資などをおこなう中小企業・小規模事業者を支援する制度です。
エステサロンでは、施術時間を短縮できる美容機器の導入、予約・顧客管理システムやキャッシュレス決済の導入などが対象として考えられます。
令和8年度は、賃金の引き上げ幅に応じて50円・70円・90円の3コースに再編され、設備投資などの費用の一部が最大600万円まで助成されます。
助成上限額は、引き上げ額と賃金を引き上げるスタッフの人数によって変わります。
令和8年度の申請受付は2026年9月から始まっており、地域別最低賃金の改定時期によって締切が変わるため、早めの確認が必要です。
設備の充実による業務効率化と、スタッフの待遇改善を同時に進められる点がこの助成金のメリットです。
補助金・助成金を申請する際のポイント

ここまで、6つの補助金と7つの助成金を紹介してきました。
ここからは、エステサロンがこれらの制度を申請する際に、必ず押さえておきたいポイントを解説します。
交付決定前に契約・購入しない
補助金でもっとも多い失敗が、交付決定の前に美容機器を発注したり、内装工事の契約を結んだりしてしまうことです。
多くの補助金では、交付決定日より前に発注・契約・支払いをした経費は補助の対象外になります。
開業準備を急ぐあまり先に契約してしまうと、採択されても補助を受けられないため、スケジュールは「申請、採択、交付決定、発注」の順で組み立てましょう。
助成金も同様に、計画の提出前に実施した研修や雇い入れは対象にならないものが多いため、取り組みを始める前に手順を確認することが大切です。
自分のサロンが対象であるかを確認する
ほとんどの補助金・助成金には、業種・従業員数・創業からの年数・雇用保険の加入状況などの要件があります。
また、同じ経費に対して複数の補助金・助成金を重複して受け取ることはできません。
公募要領を細かくチェックし、どの制度が自分のサロンにとってもっとも有効かを比較検討しましょう。
同じ制度でも年度や公募回によって要件が変わることがあるため、申請直前にも最新の公募要領を確認してください。
判断に迷う場合は、商工会・商工会議所や、制度の実施機関の相談窓口を利用するのもひとつの方法です。
申請期限と受給後のスケジュールを管理する
補助金・助成金には厳格な申請期限があり、1日でも過ぎると受け付けてもらえません。
国の補助金の多くは、電子申請システム「jGrants」での申請が必要で、そのためには「GビズIDプライム」アカウントの取得が求められます。
アカウントの取得には時間がかかる場合もあるため、申請を考えた時点で早めに準備しておきましょう。
採択された後も、事業の実施期限や実績報告の提出期限が設けられています。
報告を怠ると補助金・助成金が受け取れなくなったり、返還を求められたりすることがあるため、受給までのスケジュールを一貫して管理することが大切です。
早い段階で事業計画書の準備を始める
補助金の採択を大きく左右するのが事業計画書です。
事業計画書には、サロンのコンセプトや強み、ターゲットとなる顧客層、収支計画、実施スケジュールなどを具体的に記載します。
このとき、申請する補助金の目的や審査項目に沿って書くことが重要です。
たとえば持続化補助金であれば、その投資によってどのように新規顧客を獲得するのかという販路開拓の筋道を、数字と根拠を添えて示す必要があります。
説得力のある計画書を仕上げるには時間がかかるため、余裕をもって準備を始めましょう。必要に応じて、商工会・商工会議所の経営指導員や、補助金申請を支援している専門家に相談するのも有効です。
入金までのつなぎ資金を確保しておく
前述のとおり、補助金・助成金は原則として後払いです。
美容機器の購入費や工事費はいったん全額を支払う必要があるため、入金までの資金を自己資金や融資で確保しておかなければなりません。
採択を前提に資金計画を立てるのではなく、不採択になった場合でも開業・運営できる計画にしておくと安心です。
初期費用をおさえたい場合は、機器の導入方法を見直すのもひとつの方法です。リースやレンタルの仕組みについては、エステ機器のリースとレンタル・クレジットの違いで詳しく解説しています。
税務上の取り扱いを確認しておく
補助金・助成金は、原則として所得税・法人税の課税対象となり、事業所得や法人所得の計算上、収入に算入する必要があります。
また、補助金で取得した設備の減価償却や、消費税の取り扱いについても注意が必要です。
会計処理が複雑になるため、不安がある場合は税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
エステサロンの開業に必要な資金の目安

補助金・助成金でまかなえるのは、開業資金の一部にすぎません。
どの程度の自己資金や融資が必要になるかを把握するために、開業資金の目安も確認しておきましょう。
サロンの規模や形態によって異なりますが、開業に必要な費用のおおよその目安は以下のとおりです。
- 自宅で開業(1人で運営):50万〜200万円
- 小規模テナント(1〜2ベッド):300万〜600万円
- 中規模テナント(スタッフ複数名):800万〜1,500万円
これらには、物件取得費(敷金・礼金・仲介手数料など)、内装工事費、美容機器・備品の購入費、消耗品費、広告宣伝費に加え、開業後2〜3か月分の運転資金が含まれます。
店舗の規模が大きくなるほど家賃や人件費が増えるため、資金調達にはより慎重な計画が必要です。
開業資金の内訳や抑え方については、エステサロンの開業資金と必要な設備費用の解説や、自宅サロンの開業資金の内訳と開業手順で詳しく紹介しています。
補助金・助成金以外の資金調達方法

補助金・助成金は後払いで、採択されるとは限りません。
開業資金を確実に確保するために、ほかの資金調達方法もあわせて検討しましょう。
日本政策金融公庫の融資
開業資金の調達でまず検討したいのが、日本政策金融公庫の融資です。
日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、事業実績のない創業前の段階でも融資を申し込める制度を用意しています。
エステサロンの開業資金としては、「新規開業・スタートアップ支援資金」の利用が考えられます。
新たに事業を始める人や、事業開始後おおむね7年以内の人が対象で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。
女性や35歳未満、55歳以上の人などは、要件を満たすことで基準より低い特別利率が適用される場合があります。
融資は返済が必要ですが、補助金のように採択を待たずに資金計画を立てやすい点がメリットです。
融資で初期費用を確保し、後から入金される補助金・助成金で負担を軽くするという組み合わせが現実的です。
創業融資の考え方については、エステ開業で使える融資・助成金の解説記事も参考にしてください。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める方法です。
サロンのコンセプトやこだわりを発信し、共感した人から支援を募ります。
施術チケットなどをリターンに設定すれば、開業前から見込み客を獲得したり、地域のニーズを確かめたりすることにもつながります。
クラウドファンディングだけで開業資金のすべてを集めるのは難しいため、融資や補助金と組み合わせて活用するのがおすすめです。
エステサロンの開業・経営に活用できる支援制度3選

エステサロンを長く続けるためには、資金を調達するだけでなく、経営のノウハウを身につけておくことも重要です。
ここでは、開業前後に利用できる経営支援の窓口を3つ紹介します。
①商工会議所・商工会の経営相談とセミナー
全国の商工会議所・商工会では、地域の小規模事業者や創業予定者を対象に、経営相談やセミナー・研修を実施しています。
経営指導員による相談は原則無料で、必要に応じて税理士・社会保険労務士・中小企業診断士などの専門家と連携して課題の解決にあたります。
持続化補助金の申請に必要な書類の発行窓口でもあるため、開業を決めたら早めに地域の商工会議所・商工会に相談しておくとスムーズです。
自治体が実施する創業セミナーや「特定創業支援等事業」を受講すると、持続化補助金の創業型の要件を満たせるほか、会社設立時の登録免許税の軽減などを受けられる場合もあります。
②中小企業庁・よろず支援拠点の経営サポート
中小企業庁は、創業を目指す人や小規模事業者・中小企業向けに、補助金の公募情報や相談窓口の案内などを公式サイトで提供しています。
また、各都道府県に設置されている「よろず支援拠点」では、売上拡大や資金繰り、補助金の活用などについて、無料で何度でも相談できます。
開業準備や営業が忙しく、外部のセミナーに参加するのが難しい方でも、オンライン相談を利用できる拠点があります。
③DBJスタートアップサポートセンター
DBJスタートアップサポートセンターは、日本政策投資銀行(DBJ)と連携して運営されている起業支援の窓口です。
起業家を対象としたアワードの開催や、資金調達・事業づくりに関するセミナーなどを通じて、スタートアップの挑戦を支援しています。
サロンを起点に新しいビジネスを展開したいと考えている方は、情報収集の場として活用するとよいでしょう。
募集内容や開催時期は年度によって変わるため、公式サイトで最新情報を確認してください。
補助金・助成金制度の情報を収集する方法

補助金・助成金は、年度ごとに新設・統合・終了が繰り返されています。
申請を考える際は、常に最新の情報を集めたうえで、自分のサロンに合った制度を選ぶ必要があります。
情報収集には、以下の窓口やサイトを活用しましょう。
- 開業予定地の都道府県・市区町村の公式サイト:自治体独自の創業支援補助金や空き店舗活用補助金の情報が掲載されている
- ミラサポplus:国が運営する中小企業向けの支援情報サイト。補助金・助成金の最新情報や活用事例を確認できる
- J-Net21:中小企業基盤整備機構が運営するサイト。国や自治体の支援情報を地域・目的別に検索できる
- 商工会議所・商工会:地域の制度に詳しく、申請に向けた具体的なアドバイスを受けられる
- 厚生労働省・都道府県労働局:雇用関係の助成金の最新の要件やパンフレットを確認できる
補助金・助成金を受給するための第一歩は、徹底した情報収集です。
開業支援全体の流れや、どこに相談すればよいかを知りたい方は、エステサロンの開業支援の内容と依頼先の選び方もあわせてご覧ください。
エステサロンの補助金・助成金に関するよくある質問
個人事業主の自宅サロンでも補助金は使えますか?
使える制度はあります。
小規模事業者持続化補助金は個人事業主も対象で、自宅サロンでも申請できます。
ただし、自宅と兼用する部分の改装費や家賃は対象外になりやすく、販路開拓につながる経費であることを説明する必要があります。
開業前でも補助金に申請できますか?
制度によって異なります。
自治体の創業支援補助金には、創業前の人を対象とするものが多くあります。
一方で、持続化補助金は原則として開業済みの事業者が対象のため、開業届を提出した後に申請するのが一般的です。
1人で運営するサロンでも助成金はもらえますか?
本記事で紹介した雇用関係の助成金は、スタッフを雇用し、雇用保険に加入していることが前提です。
1人で運営するサロンは対象外になることがほとんどのため、まずは補助金や融資を検討しましょう。
補助金と助成金は併用できますか?
対象となる経費が異なれば、併用できる場合があります。
たとえば、美容機器の購入に持続化補助金を使い、スタッフの正社員化にキャリアアップ助成金を使うといった組み合わせです。
同じ経費に対して複数の制度から重複して受給することはできないため、制度ごとの公募要領で併用の可否を確認してください。
まとめ

本記事では、エステサロンの開業や経営に活用できる補助金・助成金について解説しました。
ポイントを振り返ると、以下のとおりです。
- 補助金は設備投資や販路開拓向けで審査あり、助成金は雇用・人材育成向けで要件を満たせば原則受給できる
- 小規模なサロンは、まず小規模事業者持続化補助金と自治体の創業支援補助金を確認する
- スタッフを雇用する場合は、キャリアアップ助成金や業務改善助成金なども選択肢になる
- 補助金・助成金は後払いが原則で、交付決定前の契約・購入は対象外になりやすい
- 入金までの資金は、日本政策金融公庫の融資などで確保しておく
補助金・助成金は、年度ごとに名称や要件が変わります。
申請を考えたら、最新の公募要領を確認し、商工会・商工会議所などの相談窓口も活用しながら、余裕をもって準備を進めましょう。
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